○涌谷町議会基本条例

平成25年12月26日

涌谷町条例第33号

目次

前文

第1章 総則(第1条―第3条)

第2章 町民と議会の関係(第4条)

第3章 町長等と議会及び議員の関係(第5条―第8条)

第4章 議会運営と議会機能の発揮(第9条・第10条)

第5章 議会・議会事務局の体制整備(第11条―第15条)

第6章 議員の身分・待遇・政治倫理(第16条・第17条)

第7章 最高規範性及び見直し作業(第18条―第20条)

附則

前文

議会は、地方自治法(昭和22年法律第67号。以下「法律」という。)の規定を遵守し、積極的な情報の公開、政策活動への町民参加の推進、議員間の自由な討議の展開、町長等の行政機関との持続的で緊張のある関係の保持、議員自らの資質の向上、議会活動を支える様々な体制の整備等をこの条例に定め、実践することにより、町民に信頼され、存在感のある豊かな議会を目指すものである。

町民から選挙で選ばれた議員により構成される涌谷町議会(以下「議会」という。)は、同じく町民から選挙で選ばれた涌谷町長(以下「町長」という。)とともに、涌谷町の代表機関を構成する。この2つの代表機関は、ともに町民の信託に応える活動をし、議会は多人数による合議制の機関として、また町長は独任制の機関として、それぞれの異なる特性を生かして、町民の意思を町政に的確に反映させるために競い合い、協力し合いながら、涌谷町としての最良の意思決定を導く共通の使命が課せられている。

議会が町民の代表機関として、地域における民主主義の発展と町民の福祉向上のために果たす役割は、将来にかけてますます大きくなる。特に地方分権の時代を迎えて、自治体の自主的な決定と責任の範囲が拡大した今日、議会はその持てる機能を十分に駆使し、自治体事務の立案、決定、執行、評価における論点・争点を広く町民に明らかにする責務を有していることから、自由で闊達な討議を通じて、これら論点・争点を町民に公開することが議会の重要な使命であり、この使命を達成するため、本条例を制定する。

第1章 総則

(目的)

第1条 この条例は、分権と自治の時代にふさわしい議会となるよう、議会及び議員の活動の活性化と、議員自らの資質向上のために必要な事項と、町政の積極的な情報公開と、町民参加を原則とする町民から身近で信頼される議会運営を目指し、涌谷町に暮らす全ての人たちの町民福祉の向上と、安心して楽しく生活できる豊かな町づくりの実現に寄与することを目的とする。

(議会の活動原則)

第2条 議会は、民主主義を基本とする町民の代表機関であることを自覚し、公正性、透明性、信頼性を重視し、情報公開と町民参加を原則とし、町民に開かれた議会を目指して活動する。

2 議会は、正副議長の選出に当たり、本会議において、それぞれの職を志願するものに対して所信を表明する機会を設け、その選出過程を町民に明らかにしなければならない。

3 議会は、議員、町長及び執行機関の長並びに補助機関である職員(以下「町長等」という。)、町民による「町づくりの討論の場」であることを認識し、その実現のために、この条例に規定するもののほか、議会運営の基本となる涌谷町議会会議規則(昭和40年涌谷町議会規則第1号)の内容を継続的に見直すものとする。

4 議長は、涌谷町議会傍聴規則(昭和41年涌谷町議会規則第2号)に定める傍聴に関し、傍聴人の求めに応じて議案の審議に用いる資料を提供するなど、町民の傍聴の意欲を高めるよう議会運営に努めるものとする。

5 議長は、会議を休憩する場合には、その理由及び再開の時刻を宣言するよう努めるものとする。

(議員の活動原則)

第3条 議員は、議会が言論の府であること及び合議制の機関であることを十分に認識し、議員相互間の自由な討議の推進を重んじなければならない。

2 議員は、町政の課題全般について、課題別及び地域別等の町民の意見を的確に把握するとともに、自己の能力を高める不断の研鑽によって、町民の信託に応える活動をするものとする。

3 議員は、個別的な事実の解決だけでなく、町民全体の福祉の向上を目指して活動しなければならない。

第2章 町民と議会の関係

(町民参加及び町民との連携)

第4条 議会は、町民に対して議会の活動を公開するとともに、説明責任を十分に果たさなければならない。

2 議会は、本会議のほか、常任委員会、特別委員会を原則公開するとともに、町民が議会の活動に参加できるよう措置を講じるものとする。

3 議会は、委員会等の運営に当たり、参考人制度及び公聴会制度を十分に活用し、町民の専門的又は政策的意見等を議会の討議に反映させるものとする。

4 議会は、請願及び陳情を町民による政策提案として位置づけ、その審議においては、必要に応じてこれら提案者の意見を聴く機会を設けるものとする。

5 議会は、町民、町民団体等との意見交換の場を多様に設けて、議会及び議員の政策能力を強化するとともに、政策提案の拡大を図るものとする。

6 議会は、重要な議案に対する各議員の態度を議会広報で公表する等、議員の活動に対して町民の評価が的確になされるよう情報の提供に努めるものとする。

7 議会は、前6項の規定に関する実効性を高める方策として、全議員の出席のもとに町民に対する議会報告会を開催して、議会の説明責任を果たすとともに、これらの事項に関して町民の意見を聴取して議会運営の改善を図るものとする。

第3章 町長等と議会及び議員の関係

(質問及び質疑における質疑応答の方法)

第5条 議会の本会議における一般質問及び緊急質問は一問一答方式で行い、議案審議の際の議員と町長等との質疑応答は、一括質疑方式で行う。

2 議長から本会議への出席を要求された町長等は、前項に規定する議員からの質問、質疑に対して、反問することができるが、議長の許可を必要とする。

(町長の政策等の経過課程の説明)

第6条 町長は、議会に計画、政策、施策、事業等(以下「政策等」という。)を提案するときは、政策等の水準を高めると同時に、町民への公開のため、次の各号に掲げる事項を説明するよう努めるものとする。

(1) 政策等の発生源

(2) 検討した他の政策等の内容

(3) 他の自治体の類似する政策等との比較検討

(4) 総合計画における根拠又は位置づけ

(5) 関係する法令及び条例等

(6) 政策等の実施に関わる財源措置

(7) 将来にわたる政策等の維持管理を含めた財政計画

2 議会は、前項の政策等の提案を審議するに当たっては、それらの政策等の水準を高める観点から、立案、執行における論点、争点を明らかにするとともに、執行後における政策評価に資する審議に努めるものとする。

(予算・決算における政策説明資料の作成)

第7条 町長は、予算及び決算を議会に提出し、議会の審議に付すに当たっては、前条の規定に準じて、分かりやすい政策別又は事業別の政策説明資料を作成するよう努めるものとする。

(法律第96条第2項の議決事項)

第8条 法律第96条第2項の議会の議決事項については、代表機関である議会が、町政における重要な計画等の決定に参画する観点と同じく代表機関である町長の政策執行上の必要性を比較考量の上、次のとおり定めるものとする。

(1) 涌谷町における総合的、かつ、計画的な行政の運営を図るための基本構想及び基本計画

第4章 議会運営と議会機能の発揮

(通年議会)

第9条 議会は、主体的・機能的な活動を展開するため、議会の会期を通年とする。

2 議会の会期を通年とするために必要な事項は、別に定める。

(自由討議による合意形成)

第10条 議会は、言論の府として合議制の機関であることを十分に認識し、議長は、町長等に対する本会議等への出席要請を必要最小限にとどめ、議員相互間の討議を中心に運営するよう努めるものとする。

2 議会は、本会議、常任委員会、特別委員会等において、議員提出議案、町長提出議案及び町民提案等に関して審議し結論を出す場合、議員相互間の自由討議により議論を尽くして合意形成に努めるとともに、町民に対する説明責任を十分に果たさなければならない。

3 議員は、前2項による議員相互間の自由討議を拡大するため、政策、条例、意見等の議案の提出を積極的に行うよう努めるものとする。

第5章 議会・議会事務局の体制整備

(委員会の適切な運営)

第11条 議会は、社会経済情勢等により新たに生じる行政課題に迅速、かつ、的確に対応するため、委員会の専門性と特性を生かし適切な運営に努めなければならない。

(議会事務局の体制整備、強化)

第12条 議会は、議会及び議員の政策立案機能を高めるため、議会事務局の調査・法務機能を積極的に強化する。

(議員研修の充実強化)

第13条 議会は、議員の資質及び政策立案能力の向上を図るため、議員自らの企画・立案により任期中における議員研修を開催するものとし、その結果を議会及び議会広報等で町民に報告するものとする。

2 議会及び議会事務局主催による議員研修の充実強化を図り、この条例の理念を議員に浸透させるように努めるものとする。

3 議会は、議員研修の充実強化に当たり、広く各分野の専門家、町民各層等との議員研修会を積極的に開催するものとする。

(交流及び連携の推進)

第14条 議会は、他の自治体の議会との交流及び連携を推進するため、独自に又は共同して、分権時代にふさわしい議会の在り方についての調査研究等を行うものとする。

(議会広報の充実)

第15条 議会は、議会広報の発行に当たり、情報技術の発達を踏まえて多様な広報手段の活用により、充実した内容で町政に係る重要な情報を議会独自の視点から、常に町民に対して周知するとともに、併せて町民からの意見や要望等を取り上げ、その内容と対応等を定期的に町民に周知し、町民に親しまれ、説明責任、情報公開、情報提供の方策に重要な役割を果たす有効な議会広報となるように努めるものとする。

第6章 議員の身分・待遇・政治倫理

(議員定数及び議員報酬)

第16条 議員定数(以下「定数」という。)は、涌谷町議会議員定数条例(平成14年涌谷町条例第8号)で定め、議員報酬(以下「報酬」という。)は、涌谷町議会議員の報酬及び費用弁償等に関する条例(昭和31年涌谷町条例第5号)で定める。

2 定数及び報酬の改正に当たっては、行財政改革の視点だけでなく、町政の現状と課題、将来の予想と展望を十分に考慮するとともに、議員活動の評価等を勘案するため、議会報告会や参考人制度及び広聴会制度により、広く町民の意見を聴取することに努めるものとする。

3 定数及び報酬の条例改正案は、法律第74条第1項の規定による町民の請求があった場合を除くほか、改正理由の説明を付して議員が提案するものとする。

(議員の政治倫理)

第17条 議員は、町民全体の代表者としてその倫理性を常に自覚し、自己の地位に基づく町民や地域への影響力を不正に行使することによって、町民の疑惑を招くことのないよう行動しなければならない。

第7章 最高規範性及び見直し作業

(最高規範性)

第18条 この条例は、議会運営における最高規範であり、議会は、この条例に違反する議会の条例、規則等を制定してはならない。

2 議会は、議会に関する日本国憲法、法律及び他の法令等の条項を解釈し運用する場合においても、この条例に照らし判断しなければならない。

(議会及び議員の責務)

第19条 議会及び議員は、この条例に定める理念及び原則並びにこれらに基づいて制定される条例、規則等を遵守して議会を運営し、もって町民を代表する合議制の機関として、町民に対する責任を果たさなければならない。

(見直し手続)

第20条 議会は、次の各号のいずれかに該当するときは、速やかにこの条例の目的が達成されているかどうか全員協議会において検討するものとする。

(1) 一般選挙を経た任期開始後

(2) 議会が必要と認めた場合

2 議会は、前項による検討の結果、制度の改善が必要な場合は、この条例の改正を含めて適切な措置を講じるものとする。

3 議会は、この条例を改正する場合には、全議員の賛同する改正案であっても、本会議において、改正の理由及び背景を詳しく説明しなければならない。

この条例は、平成26年1月1日から施行する。

(令和3年条例第26号)

この条例は、公布の日から施行する。

涌谷町議会基本条例

平成25年12月26日 条例第33号

(令和3年9月21日施行)

体系情報
第2編
沿革情報
平成25年12月26日 条例第33号
令和3年9月21日 条例第26号