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更新日:2016年5月12日
涌谷町裏桜町の通称「お新山さま」境内に巨大な「いちょうの木」がいま黄金の炎となってそびえ立っています。
樹齢約300年で樹高約21.63m、樹回り約3.45mあり、涌谷町で最も大きないちょうです。平成24年(2012年)に整枝しましたが、樹勢は衰えません。この木は「雄株」で〈ぎんなん〉を付けません。
初雪のころ落葉し、境内一面が黄金の絨毯になります。この黄金色の迫力こそがいちょうの命です。
いちょうは中国原産で遣唐使の僧が日本にもたらしたとされますが、古代の記録にはなく、帰化した樹木では新しいものです。
日本人はいちょうを祈りの樹木、霊木として多くの願いを託して来ました。霊木としていちょうに関わる風習は全国各地に伝承されています。
いちょうの巨木には乳房のような気孔が出るため、妊婦が乳の出を祈り、竹筒に甘茶を入れ、枝に掛ける風習があります。
旱魃の時には、降雨を祈る〈雨乞い〉の霊木でもありました。また、いちょうの古木には天狗が住み、深夜に天狗囃子が聞こえるとも伝わります。
お新山さまにはこれらの伝承はなく、「いちょうに願いを懸ける人は里でなく、山の方のいちょうに行くから」と言う人もいます。
お新山さまは室町時代(1336年~1572年)ころの勧請で、人々の篤い信仰に支えられ、祭礼は近代に入っても賑わいを見せて来ました。明治・大正時代は祭礼に「神輿」が出て、「神楽」なども演じられましたが、昭和時代に入って途絶えました。
祭礼は今年から春は4月1日、秋は9月最終の日曜日となり、地域に根ざしたお新山さんのお祭りは続いています。
※いちょうは銀杏・公孫樹・鴨脚とも書きます。
(涌谷町文化財保護委員伊藤源治)
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