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更新日:2016年5月12日

日向館跡

日向館跡

日向館跡は、JR涌谷駅から北東へ約1.1kmに位置します。遺跡は箟岳丘陵の南端部、標高9~45mの丘陵尾根筋に立地し、神明社(妙見宮)の境内を頂部とします。

これまでの調査や研究によって、神明社付近に古代(八世紀~十二世紀末)の役所跡や公的な関連施設があるのではないかと推測されていました。

このような中、平成26年度に涌谷字日向町で発掘調査を実施した結果、涌谷町で初めてほったて掘立ばしら柱の建物跡や塀跡などが発見されました。

発見された建物跡のうち、2棟の建物跡は、規模が大型であり、建てられていた位置関係から計画性の高さが窺えました。また調査地では、遺構が多く発見されたことなども含めると、長い期間、重要な区域として使われたことが分かりました。

調査地周辺の遺跡には、古代の土塁跡がある城山裏土塁跡、そして土塁状の高まりがある八方谷遺跡があります。位置関係からすると、北から東にかけて日向館跡を廻るように両遺跡があります。

宮城県北部で、土塁跡で囲まれた中に計画性の高い大型の建物跡が見つかっている遺跡は、役所跡や軍事・行政機関跡に限られます。

古代、涌谷町域は陸奥国小田郡に含まれていました。小田郡は律令国家の北辺にありながら、天平産金をはじめ古代史上、重要な役割を果たしてきました。今回の発掘調査によって、その小田郡の中心となる可能性が高い施設が一部、垣間見えました。

調査地は日向館跡の範囲の端にあたるため、今後、遺跡範囲を再検討しながら、小田郡における実態解明に向けて意欲的に取り組んでいきます。

(涌谷町教育委員会:二瓶雅司)

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