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更新日:2020年5月28日

涌谷高等学校前史ーその1ー

大正八年四月、「遠田郡立涌谷実科高等女学校」が開設されました。涌谷高等学校の前身です。『涌高の六十年』記念誌によれば、涌谷尋常高等小学校(涌谷第一小)を仮校舎として開校、生徒は、地主・大農・官公吏等良家のエリート子女で、良妻賢母となるべく教科も裁縫・家事の婦徳修養が重視されました。

校舎は、建築予算・立地問題等紆余曲折を経て立町に決定され、大正十年四月に竣工、建築費は十万五千六百八十三円でした。同年県立に移管、仙台の宮城県第一高女、第二高女に次ぎ「宮城県涌谷高等女学校」に昇格します。

涌谷町が保存する涌谷実科高等女学校建築配置図を見ますと、立町側校門から入って玄関左側に職員室・教室・裁縫室・講堂兼体操場になり、右側は応接兼休養室・器械室・理科室・裁縫室、中庭北側にもまた教室があります。

栗原郡等遠隔地からの生徒のための寄宿舎もあり、生徒室・舎監室・応接室、廊下北に食堂・炊事室・炊夫室・浴室、右側に便所が配置されていました。尾籠な話ですが便所の構造図面には地下便槽として堤焼の大甕が記されているのは時代を感じさせます。

敷地北端の養蚕室棟は、教育目標に添った実業殖産教育の要の施設と窺えます。
涌谷女学校講堂設計図
涌谷高等女学校の教師陣は東京高等師範学校、同女子高等師範学校等から招くなど他の郡部の女学校に比べ優れた陣容で県内の名門校でした。

二年後に、創立百年を迎える現涌谷高等学校の校史に誇りをもち、自今も伝統の継承発展が期待されるものです。

(涌谷町文化財保護委員:本郷和郎)

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