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更新日:2020年6月30日

忘れられた小学唱歌

弥生三月は、卒業・進級の季節です。昭和三十年代の小学校修業式、ほの暗い講堂に一年生~五年生の児童が集合し、進級する自覚と気負いの中にも厳かな気持ちで修業式の歌を斉唱しました。懐かしく思い起こされるこの歌が意外にも小学校の記録に残らず記憶する人も少ないのです。

学校史にも忘れられた小学唱歌をたずねてみましょう。

明治五年の学制発布により西洋音楽を取り入れた唱歌教材の作成が求められ、民間で続々と唱歌が作られました。

修業式で斉唱した歌の原典は、明治二十九年の「学校必用唱歌集」に所載の『進級式』という唱歌ですが、公の機関で作られた歌ではないと言われています。この唱歌は、学童の勉学に励む道筋をおおらかに示していて軍国的な表現がなく、日露戦争以前の滝廉太郎らによる開明的な音楽文化の台頭を感じます。地域により歌詞が少し異なりますが全国各地の小学校でも歌われたことは、埼玉県の資料や白石、岩出山、田尻などの事例からも確認出来ました。

涌谷第一小学校の『修業式の歌』は次のとおりです。忘れられた小学唱歌

一、
一年(ひととせ)早くめぐりつつ
学びの進む道に今
走(は)する車のおくれなき
誉(ほま)れは高くひびくなり

二、
高嶺(たかね)は遠く見ゆるとも
心をこめて怠(おこた)らず
行けば忽(たちま)ちはるかなる
山路(やまじ)をやすく登るなり

作詞加藤里路
作曲楠美恩三郎

忘れられた唱歌を学校や合唱団体で復活再現出来たら意義のあることかと思います。

(涌谷町文化財保護委員:本郷和郎)

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