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更新日:2019年10月16日

オオカミの頭骨(箟峯寺・実相坊)

ご存知ですか。実相坊には〈オオカミの頭骨〉が残されています。オオカミの骨

信仰の対象ですが、何時からあったか、由来などは不明だそうです。日本列島には、二〇世紀初め(明治時代末頃)まで狼が生息していました。北海道に「エゾオオカミ」本州、四国、九州には「ニホンオオカミ」と呼ばれる種です。オオカミは肉食獣で、農作物を荒らす猪、鹿を餌にする益獣ですが、牛・馬・羊などの家畜と人間をも襲い、いつの時代も全国で被害がありました。江戸時代の南部藩(岩手県北部)、弘前藩(青森県中部)の人畜への被害は大きく、南部藩は何度もオオカミ狩りをし、人々の捕獲に賞金を出しました。

明治政府も東北、北海道の牧場で「軍馬」を襲うオオカミ撲滅を強力に進め、捕獲に賞金を出し、劇薬で毒殺しました。動物学・獣医学等の科学的な調査はなく、エゾオオカミは一九〇〇年頃(明治三三年)、ニホンオオカミは一九〇五年頃(明治三八)の確認が最後です。この他、絶滅の原因を、ジステンバー・狂犬病など病気説、餌である鹿・猪の減少説、森林減少など環境変化説が考えられています。昭和・平成時代でも、生存の可能性はないのに、オオカミの遠吠えを聞いた!姿を見た!という人も多く、日本人の動物観、自然観に与えた影響は大きなものです。

現在でも、骨、毛皮が発見されます。二〇一七年、岩手県奥州市の農家で「魔除」にしていた頭骨が、二〇〇一・二年には、埼玉県秩父市の民家で毛皮が発見され、何れも科学的にニホンオオカミと証明されました。

涌谷辺りでも頭骨・毛皮が寺院、神社、民家の納屋、仏壇、神棚に眠ってないか。身近な古い根付や数珠にも骨・牙が付いていないか、探して見て下さい。

(文化財保護委員:伊藤源治)

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