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更新日:2020年6月30日
吉住滝不動のけやきは、最大のものが高さ29.45m、幹周り3.14mあり、雑木、杉の中に三本寄り添って聳えています。根元からは良質な清水が豊富に湧き出し、吉住簡易水道の水源地でもあり、遠地から水を汲みに来る人が絶えないようです。
この地は瀧澤寺(りゅうたくじ)の奥の院、箟岳山を守護する七滝不動の一つで不動明王が鎮座し、静寂な空間です。
けやきは日本の四季の変化を象徴し、春の芽吹きの萌黄色、夏の新緑、秋の黄葉と赤葉が鮮やかですが、冬の天を勢いよく衝く枝ぶりの雄大さも見事です。この木は全国に自生し、古代には「槻」と呼び、長寿、巨木になるため神が降臨して宿る、尊い、神聖な木として崇められて来ました。日本最古の歌集「万葉集」には齋槻(ゆつき)=神木の槻、百枝槻(ももえつき)=生命力の溢れる枝の多い槻という言葉で詠まれています。
この枝は弓の材料で「槻弓」と呼び、建築材として古代から寺院、神社に、近世では城郭に多用され、「箪笥」「臼」「杵」等にも使われました。
農村では「農事暦」の木、発芽、紅葉、落葉は農作業の目安、春の発芽状況で天候を予測し、農作物の「作占い」の風習は各地に伝承されています。涌谷町は外に、黄金迫の史跡・佐々木家屋敷内のけやき三本を保存樹木に指定しています。
最大のものは一九八九年「みやぎ県欅見立番付」で前頭に位置付けられた幹周り4.27mもある巨大なけやきです。
「齋槻」―いはひつき、いつきとも読みます。
(涌谷町文化財保護委員:伊藤源治)
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