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更新日:2020年12月23日

箟峯寺の独鈷水

箟峯寺が鎮座する箟岳山は標高236メートルで、それほど高い山ではありませんが、麓には豊かな伏流水が湧き出しています。吉住地区と産仮小屋地域の一部では、この伏流水を上水道として利用しています。独鈷水2

先の東日本大震災の折には、全域が停電と断水に見舞われて、数日間生活に大変な難儀をしましたが、この地域では毎日水に不自由することなく、薪をたいて風呂に入ったとか、何とも羨ましい限りでした。

箟峯寺は、慈覚大師円仁(比叡山延暦寺第三代座主)によって中興されて天台宗寺院となりました。慈覚大師が東北を巡錫した際に多くの寺院を開山、中興しましたが、それだけではなく法力によって各所で水を湧き出させたと言い伝えられています。涌谷町内では箟峯寺と小塚桜清水の瀧不動院に伝承されています。また、石巻市北村箱泉寺の箱清水や栗原市高清水の桂葉清水も慈覚大師の法力によって清水が湧き出したことが伝えられています。このような泉を「独鈷水」と呼んでいます。密教法具の独鈷を地面に突き刺して水が湧き出したというものです。独鈷水1

先ごろ箟峯寺の独鈷水を訪ねました。場所は観音堂の東側急斜面です。産仮小屋の古老の話では青年団活動で本堂に合宿した折にそこから水を汲んで炊事などしたということでした。桜本坊の脇から道の痕跡を進みましたが、残念ながら泉の様子は窺い知ることができません。思い切って更に道なき道を沢伝いに下りました。ほとんどバス道路に出ようかという所まで行った辺りで見つけて写真に収めました。産仮小屋では昔からここを独鈷水と呼んでいるとのことでした。

(涌谷町文化財保護委員:坊城延溟)

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