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更新日:2020年6月30日

箟峯寺観音堂と白山堂

涌谷町のほぼ中央に位置する箟岳山上の箟峯寺は、境内に観音堂、仁王門、山王堂、白山堂を配置し、山内には十五の坊舎と薬師如来堂が点在しています。

山上で最初に開かれたのは白山宮(はくさんぐう)で、奈良時代宝亀元(七七〇)年、光仁天皇の勅願所として大伴駿河麻呂により草創されたと伝わっています。ご神体は白山菊理媛命(くくりひめのみこと)で、石川県加賀の名峰白山にその源を発して、全国各地に祭られています。白山堂、白山神社、白山様などと呼ばれて作神様として篤い信仰を受けて来ました。

箟峯寺は、平安時代に入って間もない大同二(八〇七)年、坂上田村麻呂の奥州東征の折、清水寺の延鎮僧都による開基が始まりです。ご本尊は十一面観音で、田村麻呂将軍の念持仏です。蝦夷との戦いに勝利した将軍が、白山堂で再び蝦夷が蜂起しないように念じて、地面に矢を刺しました。矢が根葉を生じて逆さ竹「のだけ」となり、箟岳の地名の由来になったと言い伝えられています。十一面観音を信仰すると「十種勝利・四種果報」が得られるといいます。その中には「刀杖に害されることがなく」とあり、戦いの際の守り本尊として、一般にも篤い信仰があります。

神仏習合の本地垂迹説によれば白山神の本地仏は観音堂十一面観音です。

観音堂と白山堂の関係は、堂内「奥州鎮護」の額に見るように十一面観音に守られた平和な世の中で、白山菊理媛のもとで農耕に精を出し、豊作が享受できる構図となっています。

旧箟岳小学校の校歌二番は

「奥州鎮護の 額高く 平和の神の 守ります」

と歌われていました。

(涌谷町文化財保護委員:坊城延溟)

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