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更新日:2020年1月15日
年の瀬は、大晦日の除夜の鐘が鳴るまで年越し行事が続きます。本稿では、涌谷旧家中に伝承した大晦日の行事について、宮城県教育会編「郷土の伝承」第一輯に所載の菅原芳吉氏の報告から抜粋紹介します。(以下原文まま)
『涌谷旧家中には、年越大晦日の家例として、次のような事が行はれてゐる。
一、大晦日の夜半、布団を荷いて屋敷の周囲を数回廻る。
二~三、省略。
四、主人自らが、大晦日の夜半「来るには来たが、何処で年をとったものやら」と、つぶやきながら、屋敷の附近を彷徨ひ歩く。家従(旧家来)がそれを聞きつけて、「むさくるしう御座いますがどうぞ拙宅に御越しを願います」と案内する。
涌谷旧家といふのは、天正十八年十二月末に、館主伊達元宗に従い亘理より国替移居し来た家である。明日に新年を迎へようとするのに、宿るべき家とても無い窮状であったに違いない。即ち一は、宿りかねて夜を明かし、四は、まづまづ土地の民の宿を借りて新年を迎えた。
それ等の苦心の状態を、子々孫々に誡め残す手段として、家例としたものではあるまいか。』(以上原文まま)
この報告を民俗学の見地から考えますと、旧家の大晦日の行事は、小正月の秋田のナマハゲや米川の水かぶりなどと同様の民俗行事と見ることができます。要するに先祖様が正月神などの「来訪神」となって子孫を見守るとされる民間習俗の一例と言えますし西欧のサンタクロースや、ハロウィンの仮装なども同根の民族行事と考えられます。
来訪神については、改めて本紙で紹介したいと思います。
来年は涌谷館主四代伊達安芸宗重公没後三五十年ですね。良い年をお迎えください。
(文化財保護委員:本郷和郎)
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